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目からうろこ鼻からたらこ

建築系ジャニヲタ。

エレベーターでさようなら〜Vamp Bamboo Burnの愛の形〜

2016年8/5〜10/31に行われた神ちゃんこと神山智洋の初劇団☆新感線参加舞台「Vamp Bamboo Burn」

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生田斗真くん主演、舞台人ならば憧れを持つものがほとんどというこの大舞台に神ちゃんは笑いと可愛さで大いに華を添えてくれた。

 

この舞台は、平安時代かぐや姫との恋に敗れたところ偶然ヴァンパイアになってしまった男が不老不死の体でかぐや姫の正体をエイリアンとも知らず、千年もの間追い続ける物語である。

 


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美しいビジュアルですが本当にこの藤志櫻様はアホの子でおられます。

 

出てくる人物はみなアホであり、普通の大人が持っているであろう感覚を持っていない人ばかり。しかしこの物語の中では誰もがみな一途で純粋な愛を貫いているのである。

 

ここではそれぞれの個性的なキャラクターたちの「愛」についての私の解釈を述べていく。

 

まずは

神ちゃんが演じた、貴族の付き添いで行ったのにかぐや姫に見初められた従者、蛍太郎

 

後に、「結婚式(蛍太郎とかぐや姫の)の二次会の司会をお願いしたかったです!」とクソ舐めた口を藤志櫻にきくアホ野郎ではあるが、合コンの席では藤志櫻の歌にいち早くのって上げたり、彼が話してる時にうなずいたり、舐めた態度など微塵もない。

藤志櫻を探せ!となった時もためらい、悲しそうな顔をしていた。「殺しちゃってもいいだろ?」と言われたあとのセリフ「そうですね、サックリいっちゃってください」が

「サックリいっちゃってください(低音ボイス&悪い顔)」から「サックリいっちゃってください♪」に公演を経るうちに変化していた。

これは最後まで藤志櫻への敬意はあるものの、単純でアホな蛍太郎像を見せようとしたのではないかと思う。

 

かぐや姫に選ばれた蛍太郎は、「かぐや姫と結ばれる」ことよりも「貴族を差し置いて選ばれた」ということに浮かれているように思うのだ。

実際にかぐや姫に手を取ってスリスリされる蛍太郎は緊張し戸惑い、ドギマギとするばかり。



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話が進んでいくにつれ、最初は恐縮していた蛍太郎とかぐや姫との会話の距離感がどんどん縮まっていく様子が可愛らしい。

藤志櫻がヴァンパイアだと露呈した時も、身を呈してかぐや姫を守ろうとしていた。

 

しかし、蛍太郎、なにせおっぱいが大好き。

そりゃ〜〜〜もう〜〜〜大好きなのだ。

 

目隠し鬼ごっこの時も、結婚前夜も、さらには現世でかぐや姫を見つけた時もおっぱいのことばかり考えている。もはやかぐや姫のことをおっぱいだとすら思ってないか?

藤志櫻がかぐや姫の魂を愛し続けるように彼はかぐや姫の肉体を愛し続けている。

 

ここで特筆するのは、これが普通の人間の感覚であるということ。相手の魂だけが受け継がれてると言われて、じゃあ大好きですと人を愛せる方が異常な感覚だと思うのだ。

 

また、蛍太郎は非常に身体的にも精神的にも弱い人間である。

武器を持っていてもヴァンパイアに噛まれ一度死んだ。喉が乾けば(かぐや姫がエイリアンとは知らなかったため)かぐや姫の生まれ変わりと知りながらも血を吸ってしまう。かぐや姫の血を吸ったのが、

藤志櫻は「同じヴァンパイアになって末永く共にいたい」

蛍太郎は「目の前にある愛する人の血を吸いたい」

であったように思えるのだ。

 

偶然ヴァンパイアになったとはいえ人間の血を吸うことをためらっていた藤志櫻。偶然ヴァンパイアになり、未熟がゆえに命を落とした蛍太郎。

蛍太郎は、異常なまでの愛を貫く藤志櫻に対する普通の男の子として描かれていたのではないだろうか。
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次は、蛇の目組親分

彼もまた蛍太郎に似たような愛を貫いていた。美人で若いナースのゴリ、アリサちゃんを愛人としていた。

蛍太郎は「相手を愛する気持ちも見せながら自分本意」だったが、組長は「自分本意な気質ではあるがアリサを愛していた」

 

アリサよりも先に血は吸うし、下の世話はしてもらうし。

 

しかし、最後、黒霧が「干からびろやヴァンパイアども!!!」と言い大窓のカーテンを開け放った時、組長は自分の羽織をアリサに被せ自分は日光に焼かれる。なんやかんやこの人も一生懸命アリサを愛していたのだ。

 

 

次に、かぐや姫

 

今回彼女は平安時代には普通の恋愛を楽しんでいる。


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ひたむきに頑張る蛍太郎の姿を見て好きになっちゃうなんて浅倉南かぐや姫くらいのもんだろう。

 

彼女は当初トゥーマッチな藤志櫻のことを好きじゃないだけで嫌いではない。

また 、藤志櫻の告白を受けて「重いの........嫌いじゃないです♡」と言い、戦国武将になったら家来になって守ってね,イルカになったらシーシェパードになって守ってねと言っているように来世での藤志櫻への期待(?)をも見せている。


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この気持ちが憎しみに変わるのは、蛍太郎を殺された時と噛まれた時。

平安時代かぐや姫は蛍太郎が殺されたことよりも噛まれたことにブチギレている気がするがクライマックスでの恨みは蛍太郎の死へと移行している。これは自分がエイリアンという意識が平安時代にはハッキリあったからではないだろうか。

千年という月日があり、ほかの異性と恋をしたことだってあったかもしれない。しかし恋をするたびに思い出すのは自分を守ろうと死んでいった蛍太郎、もう二度と会えないと思っている蛍太郎だったのではないだろうか。千年という長い月日が蛍太郎への愛を深め、藤志櫻への憎しみを深めていった。
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そして、屈折しきってはいるが、かぐや姫は限りなく憎しみに近い愛を藤志櫻に抱いているように思える。

 

虫麻呂が苦労したようになにか目的なく生き続けることは容易ではない。
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藤志櫻は姫を見つけ出すこと、

虫麻呂は簿記と空手と柔道とアロマの資格をとること、

そしてかぐや姫は藤志櫻に復讐することを目的として生き続ける。

 

これまで、かぐや姫がイキイキと生き続けてこれたのは絶え間なくかぐや姫を愛し続けた藤志櫻の存在があるからなのだ。

 

蛍太郎を殺したのは、実質、ホボカタたちの管理のずさんさである。それなのに京次郎は藤志櫻に「蛍太郎を殺した.....!一度ならず二度までも!!!!」と蛍太郎の二度目の死についても藤志櫻のせいにしている。

蛍太郎が森で食い殺された時、悲しんだのはたった2人。かぐや姫と、自らを抑えきれず蛍太郎を食い殺してしまった藤志櫻本人だ。徳永くんと蛍太郎が合体したバケモノが死んだのを知った時に藤志櫻は月9「いつかあの美しさを思い出して笑ってしまった」の撮影中。


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ここで藤志櫻もといTOSHIROは「徳永くん死んじゃったし、」と言っていた。これだけ話の要となっている蛍太郎に言及していない。これは、藤志櫻は蛍太郎が生きていたことを知らなかったのではないだろうか。

 

しかし、かぐや姫の理不尽な「蛍太郎の2度目の死」についての悲しみや怒りも彼はまとめてサンドバッグとなる。かぐや姫も彼が自分のサンドバッグであってくれると知っている。知っているが、認めてしまえば蛍太郎への愛よりも藤志櫻への憎しみの方が大きいことを認めてしまうような気がするのではないだろうか。

愛と憎しみではベクトルが違うが、同じように大きな熱量を持った思いであることに変わりはないのだから。

 

なぜこれが憎しみではなく、憎しみに限りなく近い愛だと言えるのか、それはクライマックス、かぐや姫がアリサの身体に乗り移ることでわかる。

演出上の話もあるのかもしれないがそこは今回置いといて、本当に憎くて殺したいと思っているならば、わざわざ人格が変わってしまったことがわかりやすい藤志櫻の身近な人間に乗り移るだろうか?私なら、全く知らない人間に乗り移って、油断しきっているところをぶっ殺す方が効率がいいと思うのだ。

かぐや姫は藤志櫻に認識して欲しいのではないだろうか。

藤志櫻の愛を受けとめたということにはならないだろうか。

かぐや姫もまた藤志櫻と同様に、長い年月によって異常なまでの愛によって変えられてしまった人物なのだ。

 

 

 

この物語で一番心情描写が少ない、とても謎の多い人物がいる。

その人物とは、

かわいそうなサカエちゃんだ(CV:竹井京次郎)

 

彼女は藤志櫻が振り向いてくれなさすぎて京次郎になびいてエイリアン側につく。
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しかし不思議なことがある。

前世占いのシーン 、アリサちゃんの前世を占った後、西武沼袋方面にかぐや姫の気配を感じたマダムとTOSHIROはサカエちゃんの前世を見ることなくその場を去ってしまう。
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しかし、スクリーンに映ったサカエちゃんの前世は悪魔のような確実にいい雰囲気ではない生き物。

あのスクリーンは真実の姿を映すものではないし、サカエちゃんはナメクジに寄生されてもいなかった。

ゆえに、あれはサカエちゃんのシンプルな前世だったと仮定して話を進めていきたい。

 

ここで思い出してほしい。

アリサちゃんは少なからずゴリラだった。前世の特徴を少しではあるが引き継いでしまう部分があったのだ。

サカエちゃんは、TOSHIROもといトシちゃんに対して、冷凍パックの血を捨てたり、劣化でヤバいことになってるのにしば漬け洗った水を飲ませたり、わりとヘビーなイタズラをする。

前世占いの結果がスクリーンに映る時、サカエちゃんは自分で自分の前世をわかっているような部分があったように思う。自分のあらがえない性格をわかっていながら、現世での最後の最後は前世の悪魔ではなく、人間の女の子としての、トシちゃんへの愛をみせた。

しば漬けの水を飲ませたり、ナメクジに寄生されてると嘘をついたりした自分を、トシちゃんが信じてくれるかどうか。

 

トシちゃんが自分を信じてくれることが分かったら、しかもそれでトシちゃんが生きれるのなら。

 

サカエちゃんは「ずっと、こうしたかってん.....」と悲しげに嬉しそうに言う。

かぐや姫を追い続けてるトシちゃんが自分に乗り換えてくれるとは思えないからトシちゃんのかぐや姫探しを容認し、利用されてるとわかっていながら、しかも自分は人間で彼は不老不死のヴァンパイア。もうめちゃくちゃである。

そんな中でサカエちゃんの望むものは、おのずと、「トシちゃんに血を吸われて死ぬ」。

考えれば考えるほどこれだけしか残されなくなっていったのではないだろうか。

 

 悲しい、悲しすぎもうビッシャビシャやでほんまやで........

 

そんなヴァンパイアを愛してしまった悲しみを味わうサカエちゃんの気持ちを知っているからどこか京次郎はサカエちゃんに優しいのかもしれない。

 

 

この舞台は、全員アホで愛おしくて、悲しみを笑いと不謹慎で吹き飛ばす、最高の舞台だった。

ヤクザvsエイリアンという設定だって昔の映画のパロディで、ヴァンパイアが愛する人を求めて生き続ける話だって世の中にはごまんとある。

しかしパロディを集めて集めて、定番のギャグも集めて集めて、宮藤官九郎という糸で繋いで、いのうえひでのりが料理して役者が消化すればみたこともないような最高にバカバカしくてかっこよくて、美しい舞台に仕上がる。

 

VBBを観たものは必ず思うだろう。

 

トゥーマッチな藤志櫻を、

強く美しいかぐや姫を、

爽やかアホかわいい蛍太郎を、

濃い顔とうっとおしいほどの沖縄なまりを、

99歳のテーブルクロスひきを、

ありまーーす!を、

適当な前世占いを、

語りベイビーを、

痛風だけど恋愛したいを、

やたら歌のうまい駅員を、

ヴァンパイア刑事を、

名前の間違いで揉めるヤクザを、

真っ暗な会場を沖縄の太陽の下と言いくるめてやった夏フェスを、

 

 

 

「千年先まで愛してる」と。