目からうろこ鼻からたらこ

建築系ジャニヲタ。

ジャニーズのマルチアングルの効果を映像学的に考えてみた。

様々なアーティストが、 行ったライブを映像として残し売り出している。 ライブDVDの登場によって、 時間やお金や労力をさほど使わずとも誰でもあるアーティストのフ ァン、ヲタクになれる時代である。

 

そんな中特にマルチアングルは、 踊ったり歌ったり会場をところせましと動き回るアイドルのパフォ ーマンスを楽しむのには最適な技法と言えると思う。

 

生の人が出てきて目の前でパフォーマンスをするという点でライ ブと演劇は同一である。

 

しかしながら、 演劇は客席には照明が当たらないことからもわかるように、 観客は常に演者が作り上げる世界を傍観するのみであるというのが 普通である。

対してライブは開演前に観客にペンライトやタオルなどを販売した り、 客席に証明を当てたり仕掛けを置くことがありうることから、「観客も 演者の一部であり観客含めての演出」をしている。

またライブをこのように演出し始めたのは、 ライブDVDを単なる記録としてではなく、 ファン以外の人らが見ることも考えた映像作品として製作されるよ うになってからのことである。

 

ライブDVD自体は何台ものカメラが撮影した同時刻の映像の中か ら特に需要があると思われる瞬間やシーンや視点をよりすぐって編 集することで構成されている。

 

つまり「ファンが喜ぶ作品」 であると同時に「興味を持ち始めている人たち」 に向けてのプレゼンの意味もある内容となっているのだ。

アイドルファンの人は少なからず「担当」「推し」 と呼ばれる一番のお気に入りのアイドルを決めている。

それぞれの「製作側おすすめのメンバーの良さ」 を見ることはライブという作品そのものを楽しむには良いかもしれ ないがそれと同時に「 このいい場面で自分のお気に入りのアイドルは一体どんな表情でど んなことしているのだろうか知りたい」「 自分だけが知ってるその人のよさを見つけたい」 と思うのがアイドルファンの心情である。

 

上記のことを前提としてマルチアングルを考えるとこれは完全にフ ァンにとっての機能であると考えられる。

マルチアングル機能は今まで受動的だった視聴者に視点の選択肢を 与え、 よりライブに行ったかのような追体験を補助することができる。

 

また、 近年このマルチアングルでは全体の視点の選択だけではなく、 ある特定の人だけに密着するような、「推し」「担当」 をつい目で追ってしまうようなファンのライブでの実際の視点によ り近づけたものも存在する。

 

これは、 ライブDVDの映像が客席やスタッフの視点で撮影されているに対 して、 クレーンカメラやドローンに取り付けられた撮影者が実際に目にす ることはできない光景を収める無人カメラの視点は演者自身が自分 の頭の中に描いている自分を俯瞰で見ている光景に近いものである 。

 

ここで送り手を制作側からアイドルへと移すと、 このカメラの視点こそが送り手が受け手に「 自分だけを見てほしい時の見られ方」である。 ライブでは遠かったり近かったり席によって見えたり見えなかった りする演出や演技やこだわりなどより細かいエンターテイメントを 見せる場としても有効となりつつあるのだ。